クリスマスプレゼントはトイレで…。

この時期、イギリスはクリスマスパーティーラッシュだ。配偶者も何件かのクリスマスパーティーに参加し、職場の仲間と大いに盛り上がった。日本では年末の忘年会後、冬の休暇に突入!という形であるが、イギリスではだいたい12月中旬に開かれるクリスマスパーティー後に、1人また1人と休暇をとって職場から離れていくというスタイルだ。お店は、その年ごとに割り当てられた幹事がレストランを予約する、という至って普通の光景であるが、当日は普段の飲み会には見られない、クリスマス特有の物やイベントがある。


クリスマスだからといって特別キメる予定もなく、通常通りジーンズ参戦の予定だった配偶者。しかし、上司のジェイソンが今年は正装にしよう!なんて言い出すものだから、女性達から大ブーイング。なかなか正装する機会が無い配偶者は、ブーイングとまでいかないが、少々冷や汗。ちなみにあくまでぽろち的目線だが、こちらの女性の"キメる服装"というのは、まず露出。露出が命!のようで、ストッキングもはかず真冬の寒空でも生足にノースリーブ。おしゃれは我慢、というが、さすがにこの季節問わずの露出には苦笑いだ。

男性はブラック・タイ着用とのこと。配偶者は喪服の"ブラック・タイ"しかもっていなかったため、当日は普通のワインレッドのネクタイをしていったが、イギリス人は総じてこちらを着用。黒というだけではなく、ボウタイ(蝶ネクタイ)のものがスタンダードのようであった。


レストランに到着し席につくと、早速幹事からクラッカーが配られた。


使用後のクラッカーで大変申し訳ない。クラッカーといっても、日本のパン!となって中から紙テープが飛び出す代物ではない。日本のクラッカーは少々攻撃的だが、こちらのクラッカーは攻撃的要素がなく、友好的だ。使用方法はまず、自分の手を交差させ、このクラッカーを両サイドの人と持つ。職場のメンバーが仲良く1つの輪になるのだ。かなり異様な光景である。そして、合図で一気に引くとパン!という音とともに中からおもちゃがボロッと飛び出す。配偶者のクラッカーの中に入っていたのはパズルであった。


クラッカーの中身はこれだけではない。くだらないだじゃれクイズがかかれた紙と、紙でできた王冠も入っている。


どうも彼らイギリス人にとって、このクラッカーや、王冠はクリスマスパーティーに欠かせないもののようである。遡る事一週間前に、彼らと参加した職場組織全体のクリスマスパーティーでは、幹事がクラッカーを用意し忘れ、ボスのジェイソンが「ちょ、待てよ!クラッカーはどうした!?」とご機嫌が斜めになってしまった。そんなご無体な…とスペイン人の同僚と目を見合わせたが、イギリス人同僚もまんざらではなく、「クラッカーがないとキマらないよ!」つまらなそうな顔をしていた。

今回のパーティーでは、有能な幹事がしっかりクラッカーを用意したため、上司の機嫌は最高潮。たかが紙の王冠で…と思ってしまうところだが、イギリス人にとっては重要らしい。何とも不思議だ。

宴もたけなわ、クリスマスパーティーのメインイベント、クリスマスサンタに突入だ。ルールは簡単。事前にクジを引いて、クジに書かれている人へプレゼントを購入、そして幹事が用意したサンタの袋にこっそり入れておくのだ。つまり、匿名のプレゼント交換である。もちろん誰からのプレゼントかは最後まで明かされない。

今回、配偶者のプレゼントを受け取るのは、ジオ。コロンビアからやってきた、顔がおにぎりのようにいかつい若者だ。我々はこの彼を、「綺麗なジャイアン」と呼んでいる。今回プレゼントは£10以内という制限が設けられている。£10で購入できかつインパクトがあるようなプレゼント…。配偶者は綺麗なジャイアンに何をあげるべきか随分悩み、ぽろちに相談した所「トイレあげよう!」とぽろちは即答。数日後、我が家にAmazonからトイレが届いたのである。


こちらは、トイレ・マグ。少々きわどい容姿をしているが、インパクトはかなり充分だと手応えを感じた。こちらをぽろちにラッピングしてもらい、当日に備えた次第である。


クリスマスサンタが始まると幹事がサンタの帽子をかぶって、袋から次々とプレゼントを出して、それに書かれている名前を読み上げていく。よりによって、配偶者のプレゼントを受け取る、綺麗なジャイアンがトップバッターとなってしまった。プレゼントを受け取り、早速袋を開ける綺麗なジャイアン。中からトイレが出て来た瞬間、会場は大爆笑。トイレのおかげで、掴みはオッケーで、クリスマスサンタは大いに盛り上がり幕を閉じた。

ちなみに配偶者へのプレゼントはこちら。


スコットランド柄の帽子と分厚い靴下である。手作りの箱といい、心温まる思いがした。と同時に、綺麗なジャイアンにプレゼントしたトイレに一瞬罪悪感が芽生えたが、「いや、我ながら斬新なアイディアだったな…」と悦に浸り、罪悪感は消えてしまった。来年のクリスマスサンタに困ったら、ぜひAmazonでトイレを検索しプレゼントしよう。URLはこちらである。
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