先日職場のクリスマス会に参加し大いに盛り上がり楽しんだ配偶者は、パーティーで感化されたのか、「クリスマスだからさ…」「クリスマスにはさあ…」「クリスマス…」と今まで一度もクリスマスに拘りを見せたことがない配偶者が、「クリスマス!クリスマス!」と突如連呼しだしたのだ。「おそらく一時的に騒いでいるだけだな…影響されやすいヤツめ…」とぽろちは静観していたのだが、一向に収まる気配がしない。仕舞いには「クリスマスケーキ食べたい!」とアピールし始めたのだ。少々ウザかったが、まあ、クリスマスケーキくらい作るか…と重い腰を上げたところ、「クリスマスプディングが食べたい!」とこれまた面倒な注文をつけてきたのだ。非常に迷惑だ。
日本のクリスマスのデザートと言えば、ホイップクリームやバタークリームがたっぷり塗られたスポンジケーキの上に、メレンゲドールのサンタクロース等を飾り付けた「クリスマスケーキ」が定番だが、ここイギリスでは、小麦粉やパン粉、牛脂、卵、砂糖、ドライフルーツなどを混ぜ合わせて焼き上げた、「クリスマスプディング」と呼ばれる伝統的なクリスマスケーキがクリスマスのシンボルとして絶大的に指示されている。スポンジケーキを超圧縮したようなケーキだ。
プディングというと、「あのプリン」を想像してしまうが、「あのプリン」とは全く違う。配偶者の職場の同僚によると、温かくてカスタードクリームなどに浸ってグチャグチャしたやつは大体プディング、なのだそうだ。定義が曖昧で適当そうに感じるが、イギリス人にとっては、重要な食べ物のうちの1つなのだろう。
Wikipediaによると、中世のクリスマスに作られた濃厚なスープ、または、肉と果物が入ったオートミールがクリスマスプディングの起源とされているようだ。16世紀までにクリスマスケーキとしての地位を確立したが、清教徒革命中は、クリスマスプディングはミンスパイと共に製作を禁止されたらしい。1600年後半頃に、現在のような固形の料理になったそうだ。そしてヴィクトリア女王がクリスマスプディングを英国王室のデザートに採用して以降、イギリス国民のクリスマスに欠かせないデザートとして定着したとのこと。
(NHK HPより)
現在放送中のNHK連続テレビ小説「マッサン」で、スコットランドのエリーの実家で開かれたクリスマス会の最中、クリスマスプディングからマッサンは6ペンスの銀貨(1967年に製造中止)、エリーは引き当てたシーンを想像される方も多いだろう。スコットランドではクリスマスプディングに、6ペンスの銀貨と指ぬきまたは指輪(硬貨は裕福、指ぬきは幸福な人生、指輪は良縁な結婚ができるようにという願いがこめられている)を忍ばせて焼く、ちょっとした言い伝えがある。「6ペンス銀貨を引き当てた独身男性と、指ぬき(指輪)を引き当てた独身女性は、運命の人である」という赤い糸的なロマンチック要素があるのだ。
マッサンの視聴中の身としては、クリスマスプディングに興味はある。それに、クリスマスケーキをきっかけに赤い糸で結ばれる言い伝えに乙女心がくすぐられるというものだが、自分で作るとなると、面倒だ。しかし、配偶者がうるさいので、ぽろちは諦めて「ぽろちの☆クリスマスプディング大作戦」を決行することにした。しかし…。調査の結果、1日でそう簡単に作れるケーキではないと知り、愕然とする、ぽろち。
作り方は、まずドライフルーツを密閉容器に入れ、ブランデーで漬け込む。最低でも一晩から一週間の漬け込みが必要らしく、もうぽろちはここで既に挫折気味。とりあえず漬け込むも、なんだか不安しかない。そして、材料を細かく刻み、別の材料と混ぜ合わせ、ここでも最低1日〜寝かす。後はなんやかんやで数時間蒸して完成。なんやかんやとかなり省いているが、実際はかなり苦戦しており、過程の写真を撮る余裕すらなかった。大変申し訳ない。レシピは多くの方が紹介して下さっていらっしゃるので、詳しく知りたい方は申し訳ないが検索して欲しい。
さて、肝心のぽろちのクリスマスプディングはこちら。
味はどうあれ、見た目はそれなりにできたと思う。我ながら大満足だ。本来の味を知っているかどうか怪しい配偶者も「これ、これ!」と言って食べていたので、ひとまずよしとしよう。
こうして「ぽろちの☆クリスマスプディング大作戦」は無事に幕を閉じた。しかし無事に終わったものの、ぽろちには疲労しか残っていない。クリスマスケーキ作りもなかなか楽ではないな…とポテトを食べながら気を落ち着けている次第だ。「明日はクリスマスマーケットに行こう!」と騒いでる配偶者を見て思う。「クリスマスプディングが食べたい」と言った配偶者の希望に応えたのだから、この埋め合わせはしっかりしてもらいたいものだ。