羊のドリーは休暇中。国立スコットランド博物館。

「遺伝子工学が産んだスーパーガール」の異名を持つ、羊のドリー。彼女はほぼ年中無休で10年以上、国立スコットランド博物館(National Museum of Scotland)で勤務している有能で品行方正な羊だ。


羊のドリーは、 1996年7月にスコットランドのロスリン研究所で誕生したクローン羊である。世界初哺乳類のクローン生物として、突如降臨したこのスーパーガールはドリーと名付けられ、一躍有名となったのだ。

(赤ちゃんドリーとボニーママ)

彼女はロスリン研究所で数年間勤務していたが、クローンの宿命なのかは定かではないが、2003年に彼女は通常の羊の寿命よりも短く、6歳で生涯を閉じた。その後、ロスリン研究所から、国立スコットランド博物館に彼女の剥製が展示され、多くのドリーファンをエディンバラに呼び寄せ広報活動を担っている。非常に素晴らしい羊だ。

(赤ちゃんドリー)

このドリーファンの1人である配偶者に連れられ、本日、ドリーを一目見るために国立スコットランド博物館へと向かった。場所はロイヤルマイルの南、チャンパー・ストリート沿いに面している。スコットランドの文化財の宝庫と呼ばれ、その名の通り、スコットランドをテーマにした博物館で、歴史、文化、民族に関する展示を行っているとのこと。種類豊富な展示品は、地元の方はもちろん、多くの観光客の心を掴んでいるようだ。


「早くドリーに会いたい…!」と興奮してうるさい配偶者をなだめ、ぽろちと配偶者は受付でパンフレットをもらう。日本語のパンフレットがあるので、安心だ。パンフレットを参考に、展示物を確認しつつ各階へと向かう。五階まであり、展示物が所狭しと展示されている。展示の仕方もユニークで、各所ゲームや体験コーナーがあるのでお子さんも大はしゃぎ。もちろん大人である配偶者とぽろちも楽器をならしたり、コウモリのゲームに熱中したりと楽しんだ。時間をかけてゆっくり楽しみたい方は余裕を持って来られることをおすすめする。閉館は17時、入場料は無料だ。


ぽろちは散歩がてら、何度かこの国立博物館に来ているため、既にドリーとは顔見知りだ。しかし、配偶者は今回は初めて。ドリーに対して熱い思いを持っているようで、博物館までの道中、ずっとドリーの話をしていた。ぽろちは遺伝子のことはよくわからないので、クローンだの細胞だの、と言われても意味不明。もう、ドリーは普通の羊のドリーでいいじゃないか。ドリーはドリー以外の何者でもない。それ以上でもそれ以下でもないのだから。


ぽろちと配偶者はドリー話で盛り上がりつつ、由緒正しい展示物を見ながらお目当てのドリーを探していたが、何故か一向に見つからない。おかしい。ぽろちが以前頂いたパンフレットには、ドリーの紹介が掲載されているが、配偶者が本日頂いたパンフレットには、完全にドリー紹介がリムーブされていたのだ。


何やら雲行きが怪しい…。先程までウザいくらいドリー話に花を咲かせていた配偶者の表情が、一気に困惑へと変化していく。「ドリー…どこ…」とぼそぼそと呟く配偶者をまたぽろちはなだめつつ、係員さんに2つのパンフレットを見せながらドリーの容態を尋ねた。すると、「ドリー?彼女は今、休んでいるんだ、ごめんね」と、まさかの「羊のドリー☆私も休暇もらっちゃうよ」宣言をいただいた。詳細聞くと、ドリーの展示コーナーは現在改装中で、2016年頃までかかるとのこと。

(現在改装中)

そういうわけで、現在ドリーは、2年間の休暇を楽しんでいるようだ。ドリーが休暇中なのは大変寂しいが、約10年間程ほぼ年中無休で勤務していたのだから、ドリーには充分に休暇を楽しんでもらいたいものである。ドリーを見物に博物館に行かれる方は非常に多いと思われるが、2016年までドリーに会えないということをしっかりお伝えさせていただきたい。


ドリーに会えず意気消沈した配偶者は、カフェで休憩中、何度もドリーのことを検索しては、ぽろちにドリー話を繰り広げていた。ここまで配偶者にドリー話をされると、「配偶者はそんなに羊が好きなのか…」と思わず勘違いしそうだし、皆さんも「配偶者はそんなに羊好きなのか…ハイジに出てくるペーターかよ…」となるかもしれないが、配偶者は羊のドリーに興味があるというより、あくまでクローン技術に関心があるとのことだ。



ドリーに会えずじまいで残念だったが、こちらのカフェで、コーヒーとホットチョコレート、そしてスコーンを注文。カフェの他にレストランもあるので、食事だけでも楽しめるかと思われる。


国立スコットランド博物館は、エディンバラ城に通じる道、ロイヤルマイルへのアクセスも良く、我々おすすめのパブであるボビーズ・バーも近い。そして入場料無料。まさに、いいことづくしである。エディンバラ観光中、ぜひ立ち寄ってみてはいかがだろうか。
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