しかし嬉しいことに、フェスティバルのフリンジとして、7月31日から10月31日までの約3ヶ月の間、臨時営業でドリー嬢を見ることができるようになったのだ!情報提供して下さった、がりたさん、ありがとうございました。
そのドリー嬢が臨時営業している場所は、エディンバラ大学の図書館。本来このエディンバラ大学の図書館は、学生や職員といったエディンバラ大学関係者のみ入館可能だそうで、一般の方は入ることができない。しかし、ドリー嬢の会場のみ、一般にも開放されているとのことだ。
図書館に入るには関係者カードが必要なため、基本的には所持していない方は入れない。そこで入り口入ってすぐ右側の受付に行き「ドリー嬢が見たいのですが…」と申告すると、シールをもらえるのでそれを胸に貼って堂々と入館しよう。
ちなみに入り口付近にも、ドリー嬢に関する情報が展示されている。しかし情報量は少ないため、躊躇わずに入館しドリー嬢に会いに行こう。
入館ゲートを抜け、左手奥に、早速ドリーコーナーが!てっきり混雑しているかと思い気や、ぽろちと配偶者以外、誰もいない。これはゆっくり堪能できるということで、理系先輩の配偶者は、ドリー嬢との時間を楽しむために単独行動。 ちなみに、ぽろちは遺伝子のことはさっぱり…。
クローン羊のドリーは酪農・畜産分野が盛んであり、かつ高い遺伝子改変技術をもつロスリン大学(Roslin institute)で誕生した。元のアイディアとしては、遺伝子を改変して、治療・健康維持に役立つミルクをたくさん出す羊や牛は作れないものか、といった発想から、こういった農場にいる動物達に向けた遺伝子改変技術開発の延長線で産まれたのがクローン技術だ。
クローンとは、通常の受精という過程なしで生まれた、全く同じ遺伝情報を持つ個体のことをいう。ドリーは世界初のクローン生物のため、その誕生に世界は沸いた。この成果は、科学技術の大きな一歩であることと同時に、サイエンスフィクションであったクローン技術が現実のものになったと、一般の人々にキャッチーに理解してもらえる極めて重要なものなのである。
少々行き過ぎた例ではあるが、ユアンマクレガー主演の「アイランド」は、そのクローン技術が人間社会に普及したらどうなるか、を皮肉的に表現している。表の世界の人間への臓器提供のために、地下の世界に生きるそのクローン人間達の葛藤を描く、近未来のストーリーである。
こういった遺伝子改変技術の研究は脈々と引き継がれ、記憶に新しいのが山中伸弥博士のiPS細胞開発によるノーベル生理学・医学賞に繋がるのだ。ドリーの展示物の中に、Nikonと書かれた顕微鏡があったが、これもまぎれもない日本の技術の結晶。なにやら、日本人として勇気づけられる。
ぽろちは熱弁をふるう配偶者を尻目に、ドリー嬢を激写!
ドリー嬢!
ドリー嬢のおしり!
様々なアングルでドリー嬢を撮影した。
ぽろちにはドリー嬢のこの表情、悲壮感一杯で儚いものに感じた。人間に丁寧に大切に扱われ通常の羊よりは待遇の良い生活だっただろうが、おそらく本来の羊としての生活は送れなかっただろう。世の中を達観したようなドリー嬢に、少し寂しい気持ちになった。
エディンバラ図書館の前のジョージ・スクエア(George Square)は、フェスティバル期間は野外バーに早変わり。エディンバラ城などの観光地からは少し歩かないと行けないが、興味のある方は是非ドリー嬢を見て、そして野外バーを楽しんで頂ければと思う。また、いずれは国立スコットランド博物館で営業再開すると思うので、今回を逃した方は次回のチャンスを待とう。